
宝船
日本のお正月には、良い初夢を見るために枕の下に宝船を入れて眠るという風習があります。夢二の「宝船」はまるで映画の一場面のような、色彩豊かでドラマチックな一枚です。
黒地にハート(命)をあしらった小さな船には、三味線を爪弾く日本髪の女と櫓を漕ぐ異国の男。背景には正月らしい富士山と真っ赤な太陽が描かれていますが、黒一色で塗り込められた空はこの二人の行く末を暗示しているようです。縁起物である宝船に織り込まれた一抹の不安は、昔も今も変わらず、人々にとって未来は心許ないものであることを物語っているのでしょうか。
大正9年の節分に “命も鎌椀宝船(いのちもかまわんたからぶね)”のタイトルで発売された夢二の名作。未知の海原へ漕ぎ出す二人の姿には開拓者の力強さや誇らしさがあり、この船出には人々の切なる希望が託されているのでしょう。
夢二郷土美術館
Copyright(c)2009 Yumeji Art Museum All rights reserved.
このホームページの著作権は夢二郷土美術館にあります。画像・テキスト他データの無断使用・転載はご遠慮下さい。