
あきつ
夢二が28歳のときの作品。
この版画は、明治44年に出版された夢二の著作本『櫻さく國 白風の巻』の付録として折込まれていたものです。
深いグレーの着物に、深紅の帯を締め、頭には黄色い大きなリボンを飾った、和と洋を取り混ぜたファッションの少女が、ひかえめな仕草で佇んでいます。そのまわりには、たくさんの蜻蛉が見えます。この画の題名「あきつ」は、蜻蛉の古い言い回しです。この蜻蛉たちは、「夢見るような」眼差しの少女が抱いている、果てしなくふくらむ想いの具現化なのかもしれません。白壁、落ち葉、蜻蛉、もの想いにふける少女、メランコリックな秋の情景が落ち着いた色遣いで描かれています。
この画の右下には「夢路」の文字があります。夢二の初期の作品には、「夢二」のほかにも「夢路」のサインも見られます。
夢二郷土美術館
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